国内初、和欧混植をWebフォントとして利用できる「混植フォント」サービスを開始
FONTPLUSは、和文フォントと欧文フォントを組み合わせた「混植フォント」の第1弾として、フォントワークス社とMonotype社のWebフォント(4ファミリー8書体)を2020年10月15日よりご提供開始いたします。混植フォントはWebフォントサービスにおいては、国内初のサービスとなります。
FONTPLUSをご利用中のお客様は、追加費用なしでご利用いただけるサービスとなります。
「和欧混植」をWebデザインにも気軽に取り入れたい
印刷物のデザインでは、欧文フォントの文字サイズやベースライン位置などを調整した上で和文フォントと組み合わせる「和欧混植」という手法が広く使われています。和文フォントに含まれる英数字をそのまま使うよりも、欧文フォントを使う方がより本格的で高品質なタイポグラフィを実現できる場合があるためです。とくに近年は英語を中心とした欧文が日本語のテキストに多く含まれており、自然に調和した和欧混植の必要性はより高まっているといえます。しかしWebデザインにおいては、CSS(Cascading Style Sheets、カスケーディング・スタイル・シート)によって和文フォントと欧文フォントを組み合わせること自体はできますが、フォントファミリーごとに文字サイズやベースライン位置などを調整することはできません。その結果として、和文と欧文のバランスが取れず、ちぐはぐな印象になってしまうことも多々あります。実際にWebデザインの現場で活躍される方々にインタビューさせていただいたところ、やはり和文フォントと欧文フォントをスクリーン上で調和させるのに苦労されているとの声が多く聞かれました。
FONTPLUSの「混植フォント」がWebデザインの課題を解決します
FONTPLUSが提供する混植フォントはこういった課題を解決するものです。FONTPLUSの誇る豊富なライブラリから、美しく調和する和文フォントと欧文フォントを選び、文字サイズやベースライン位置などを調整し、新しい1つのWebフォントとして提供いたします。和欧混植のWebフォントを使ったWebサイトの構築は、これまで以上に容易な設定で行うことが可能となります。
「混植フォント」の使い方
混植フォントの最大の特長は、高品位な和文フォントと欧文フォントを組み合わせ、最適なバランスになるように調整している点です。また、本来は個別に指定する必要のあった和文フォントと欧文フォントを1つのフォントとして利用できるため、開発上の管理がよりシンプルになる点も見逃せません。混植フォントのご利用方法は、通常のWebフォントと同様です。会員ページにログインし、ご利用になる混植フォントを登録してください。
「混植フォント」第1弾のラインナップ
混植フォントの第1弾として、フォントワークス社のフラグシップフォントである筑紫書体シリーズより、Webフォントしても可読性の高さを誇る筑紫ゴシックと、Monotype社の高品位な欧文書体を組み合わせた、4ファミリー8書体をご用意いたしました。今回リリースされた混植フォント8書体は、Webページの本文で利用しやすいものを中心に構成しています。また欧文フォントはいずれも、人気の定番書体を中心に、スクリーンでの可読性を考慮した最新のアップデート版を採用しています。
- 筑紫ゴシック Pr5 R+Between™ Pro 2 Light
- 筑紫ゴシック Pro B+Between™ Pro 2 Medium
- 筑紫ゴシック Pr5 R+Avenir® Next Pro Regular
- 筑紫ゴシック Pro B+Avenir® Next Pro Medium
- 筑紫ゴシック Pr5 R+Helvetica® Now Text Light
- 筑紫ゴシック Pro B+Helvetica® Now Text Medium
- 筑紫ゴシック Pr5 R+DIN Next™ Pro Light
- 筑紫ゴシック Pro B+DIN Next™ Pro Medium
Webフォントとしても高い人気を誇る筑紫ゴシックを軸に、異なる欧文フォントを組み合わせた4ファミリーをご用意しました。欧文フォントはBetween™ 2、Avenir® Next、Helvetica® Now Text、DIN Next™という、いずれもデザイナーから絶大な人気を誇るサンセリフ書体ばかりです。ウェイトはそれぞれR(レギュラー)とB(ボールド)があり、Webで利用しやすくなっています。
「混植フォント」サービス提供にご協力いただいたコンさまよりコメント
Web上の組版にはさまざまな制限があるため、思うように組版できないことがあります。その制限の1つが和文と欧文の混植でした。印刷物ではあたりまえの組版手法が使えず、これまで仕方なく妥協をされていた方も多いでしょう。そんな苦労をされていた方々も、この度FONTPLUSよりリリースされる「混植フォント」により、この「制限」から解放されるでしょう。
和欧混植の組み合わせは、存在するフォントの数だけありますが、実務レベルで使うためには「バランスの良さ」「読みやすさ」はもちろん「自然に見えるだけでなく印象的である」という要素が大切です。FONTPLUSの「混植フォント」では、これらの条件を満たす絶妙な組み合わせが選定されています。これまで不可能だった美しい和欧混植組版を、Web上でぜひ実現させてください。
コントヨコさまプロフィール(エディトリアルデザイナー/欧文組版コンサルタント)
英文書籍の出版社デザイン室にて約15年間、ネイティブ編集者とともに欧文組版に携わる。独立後は、書籍デザイン、組版DTP、企業/一般ユーザー向け組版セミナー、欧文組版監修、欧文組版コンサルティング、組版ソフト開発サポート業務などに従事している。
『新標準 欧文タイポグラフィ入門(MdN)』『定番フォントガイドブック(グラフィック社)』、モリサワパスポート『英中韓組版ルールブック』、書体デザイン専門誌『タイポグラフィ(グラフィック社)』にて欧文組版関連の記事を執筆。『+DESIGNING vol. 44』日英併記/欧文組版関連記事を監修。
タイポグラフィのイベント「TypeTalks」、DTPやInDesign関連のセミナー「INDD」、「バンフーセミナー」、「CSS Nite」、「DTPの勉強会」、「DTPの勉強部屋」などで、スピーカーや講師として多数登壇。
日本タイポグラフィ協会 会員
Twitter:@RoseKonT
ブログ:I Love Typesetting
今後も本文で使える定番書体の組み合わせのほか、より読み手の目を引くような個性的な混植フォントをリリースして参ります。FONTPLUSの取り組みにどうぞご期待ください。